オンタリオ州のナイアガラ・エスカープメント生物圏保護区は、オンタリオ湖(ナイアガラ・フォールズの近く)からブルース半島の先端(ジョージア湾とヒューロン湖の間)まで全長725kmに及ぶ石灰岩の断層。4億5,000万年以上前は、熱帯の海の底でした。その後の数百万年の間に、堆積物は主にマグネシウムに富む石灰岩と頁岩を含む岩石に圧縮されました。
氷河、水流、自然の力により、頁岩とは異なる速度でより弾力性のある石灰岩が風化し、海食柱、カルスト形成洞窟、深い谷、風光明媚な滝、険しい丘、ナイアガラ・エスカープメントに沿った壮観な崖のような、今日見られる非常に劇的な地形が形成されました。世界の自然の驚異の1つで、地域住民が周辺の開発と保全のバランスを保っていて1990年にユネスコ・エコ・パーク(バイオスフィア・リザーブ)に指定されています。ナイアガラ・エスカープメントのようなユネスコ・エコ・パークは、持続可能な開発の優れた事例を示し、環境調査、モニタリング、教育活動のための貴重な現場となっています。
このナイアガラ・エスカープメントですが、ナイアガラ・オン・ザ・レイクの近くの高さ約200mの断層は、緩やかな斜面に広がるブドウ畑にオンタリオ湖からの温暖な空気を送り込んで循環させます。夏は涼しく、冬も寒すぎない土壌は、フランスのブルゴーニュ地方に近いと言われており、ワインの生産に理想的。さらに水はけのよい石灰岩質をベースにした土壌が、個性豊かなワインを作り出しています。
ナイアガラ地区は、広大なブドウ畑で埋め尽くされ、60以上のワイナリーが点在。世界のワインファンが一目おく、注目のワインの産地です。この地で本格的にワイン作りが始まったのは1970年代。歴史はまだ浅いものの、すでに世界のワインコンクールでも数々の賞を受賞するほど。ナイアガラ・エスカープメントを知れば、最高品質のオンタリオ産ワインにもっと酔いしれることができるかもしれません。