旅行者への国境再開が進む中、これからの注目はスロートラベル。でも、具体的にどんな旅になるのでしょうか。

じっくり味わうスロートラベルは、旅の意味を改めて考えるいい機会になります。世界の新しい土地と出会い、見知らぬ文化や場所との絆を深め、やがて1つの土地にとどまっているうちに、その土地ならではの魅力をとことん味わい、こよなく愛することができます。こうした旅のあり方は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中で、改めてその価値が高まっています。

時間をかけて楽しむ:そんな旅のスタイルに理想的なのが、カナダ。さまざまな表情を見せる広大な土地には、大自然を満喫する自給自足の冒険の旅も、充実した都会の楽しみもあり、何よりも旅行者を優しく迎え入れてくれる魅力あふれる人々がいます。旅の拠点が決まったら、その土地にどっぷりと浸かり、カナダのまったく新しい一面を見つけてみましょう。そこで今回は、スロートラベルを慌てず焦らずにスタートするためのアイデアをご紹介します。

大自然の誘いに応える:カナダの野生動物ウォッチングと言うと、多くの旅行者はクマやムース(ヘラジカ)、クジラを思い浮かべます。でも広大なカナダには実に80,000種の動物が生息していて、自然生息地でアニマルウォッチングを楽しむ方法はたくさんあります。まず向かうのは、ケベック州ノートルダム・ド・ボンスクール。こちらでは、オオカミを間近で観察できます。オオカミは、満月に向かっての遠吠えでお馴染みですが、実は自然界で健全な生態系維持にも一役買っている重要な動物なのです。滞在先は2200ヘクタール(22平方キロ)の広大なオメガ・パーク。この公園には全長12キロに及ぶサファリコース(ガイドなし)があり、エルクやバイソン、クマ、そしてもちろんオオカミなど、カナダならではの野生動物に出会えます。また、同公園内には、高級宿泊施設があるのも自慢の1つ。ハイイロオオカミやツンドラオオカミの生息地のすぐ近くで眠ることができます。その1つ、ウルフ・ロッジ&シャレーでは、フロアから天井まである大きな窓の外にはオオカミの自然生息地が広がっています。フロアから天井まである大きな窓の外には、オオカミの自然生息地が広がっています。テレビでは決して楽しむことのできない“夜のショー”をじっくり堪能できます。

潮の満ち引きに身を任せる:スロートラベルは心身の健康と切っても切れない関係にあります。マインドフルネスや意識が研ぎ澄まされた状態を維持することは、メディテーションの一環であり、スケジュールや予定表をしばし忘れることは、メンタルヘルスに大きな効果があります。今度のバカンスは心身の健康にこだわりたいと思ったら、ノバ・スコシア州にあるファンディ湾がお薦めです。ここは潮の干満差が世界一。しかも、世界的に希少種のクジラが生息し、準宝石に区分される鉱物や恐竜の化石も採掘されています。ここでは、ちょっと遠出してカヤックとヨガを楽しむツアーがあります。まずは静寂に包まれたホースシュー・コーブを訪れ、ガイド同行でカヤック。目に飛び込んでくる隔絶された入り江や断崖絶壁、古代の溶岩流の痕跡は遠い昔の大陸移動を物語っています。次に訪れるのは、静かな灯台。ここで穏やかなヨガセッションと、地元産バルサムファー・オイルを使ったくつろぎのネックマッサージを受けます。たっぷりリラックスしたら、新鮮な地元産食材を生かした楽しいブランチを大自然の中でいただきます。ファンディ湾を別の視点から楽しむなら、干潮時の海底乗馬&化石ツアーはいかが。これはファンディ地質博物館と観光牧場スピリット・レインズ・ランチが共同で実施している企画で、潮が引いて姿を現した海底を馬の背に揺られながら散策します。通年開催の同ツアーは、ファンディ湾散策後に、3億年前の化石が出土したという古代化石出土地に向かいます。

歩いて楽しもう:大自然にどっぷりと浸かりたいなら、プリンス・エドワード島で決まり。全長280キロとカナダ最小の州ですが、単純に通り過ぎるわけにはいきません。思わずあちらこちらを歩き回りたくなるほど、至福の時間をたっぷり過ごせます。全行程700キロに及ぶアイランド・ウォークは、海沿いを歩き、歴史に彩られたサイクリング兼ハイキングコースのコンフェデレーション・トレイルを進み、赤土の未舗装道路やビーチも踏破しながら、さまざまな表情を見せる大自然の姿を味わえるとあって心躍るひとときを堪能できます。このウォークの難易度は高くなく、誰でも挑戦できます。また、全行程が32区間に分けられているので、いきなり島一周にチャレンジしなくても、好みの区間を選んで楽しめます。

叡智に耳を傾ける:カナダの豊かな先住民文化を知るには、カナダ最大の先住民人口を擁する都市・マニトバ州ウィニペグが一番です。最初に立ち寄りたいのは、イヌイット(カナダ北部に住む先住民)のアートや文化に特化した美術館・Qaumajug(カマユグ)。2021年3月にウィニペグ美術館(WAG)敷地内にオープンしました。この種の施設としては他に類を見ないカマユグは、現代イヌイット芸術のコレクションを収蔵する世界最大の公共施設で、アーティストや先住民のアドバイザー、ステークホルダーの全体的なビジョンを具現化した拠点でもあります。街を散策していると目に留まるのは、先住民の手による力強い作風の彫刻作品です。例えば、高さ5メートルの巨大ティーケトル。250人分のお茶を用意できるだけの水が入るとか。また、母なる大地をモチーフにした妊婦を象徴する彫刻もあります。アーバン・シャーマンでは、現代先住民アートの一端を垣間見ることができます。また、フィースト・カフェ・ビストロでは、カワカマスやバイソンのリブ、バノック(大麦などで作る伝統的なパン)といった食を通じて先住民文化に触れられます。ウィニペグの先住民文化を見て回るうちに、何千年も前にカナダに最初に定住した人々について理解が深まるはずです。

公園をとことん楽しむ:アルバータ州にあるジャスパー国立公園は、11,000平方キロに及ぶカナディアン・ロッキー最大の公園です。もちろん、長期滞在先として退屈する暇もないほど魅力にあふれています。まずは宿泊先の確保。伝統美と現代的な快適性を兼ね備えたレンタルキャビン(ロッジ)が揃っていて、素敵な雰囲気の中で滞在生活を盛り上げてくれます。冒険に出発すると、公園内に縦横無尽に張り巡らされたトレイルが見つかります。写真撮影ツアーに参加すれば、ハイキングをしながら、さまざまな滝、星がきらめく星空保護区、山々など印象的な光景を写真に収める楽しみも。ジャスパー・プラネタリウムでは、カナディアン・ロッキー最大の望遠鏡で宇宙を覗くことができます。また、公園内にはターコイズブルーが美しい氷河湖があります。ここで雪を頂く山々に囲まれてカヌーを楽しんでいると、水辺の野生生物(ほかにもクマやエルク、シカ、オオカミ、ムースなども)を観察できます。

スロートラベルにはスローフードが似合う:カナダ滞在を堪能するなら、文化・食・歴史に親しむこと。例えば、かつてニューファンドランド&ラブラドール州が大西洋産のタラに支えられていたことをご存知ですか。タラ漁がこの地域の主要産業になると、世界中にタラが輸出されるようになりました。地元漁師は、タラの頭や舌、浮き袋といった市場に出回らない部位を手元に残して食材にしていました。サステナブルでエシカルな(倫理観を持って社会に配慮した)農業に興味があるなら、ぜひエイボンデールへ。ここにある家族経営のコッド・サウンズでは採集狩猟型ツアーを開催、自らの手による採集・狩猟・漁労を体験できます。今後予定されているワークショップとしては、「ジビエ料理・野生鳥獣」(解体・洗浄・脱骨処理を含む、10月〜5月)、「秋のベリー類・ジビエ料理」(天然藻塩、クラウドベリージャム、瓶詰めジビエ肉、その他の地元食材を堪能、9月〜10月)などがあります。ニューファンドランド&ラブラドール州滞在中は、誰もいない砂浜に腰を下ろして、のんびり読書はいかが。お薦めは、フィールドガイドのショーン・ドーソン著『The Forager’s Dinner: Finding, Harvesting and Preparing Newfoundland & Labrador’s Edible Plant(自給自足のディナー:ニューファンドランド&ラブラドール州の食用植物の見つけ方・採集法・料理法)』。この地域の森林や沼地、断崖、海岸での自給自足食のガイドブックです。

街歩きは驚きの連続:カナダでも特にデジタル化が進んだ先進都市・ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー。ポストコロナの時代の旅には理想的な拠点になります。キャピラノ吊り橋公園グラウス・マウンテンスタンレーパークなど自然豊富な都市・バンクーバーならではの魅力的なスポットが楽しめます。オーガニックで責任ある食材調達を第一に掲げる地産地消型のレストランも大満足のひとときを過ごせます(手始めにエイコーンフォレージを訪ねてみましょう)。せっかくホテルに泊まるなら、単に寝るだけの場所ではなく、本格的な文化体験も堪能できるホテルがお薦めです(有名どころでは、ザ・ダグラス・オートグラフ・コレクションホテルフェアモント・パシフィックリムなどがあります)。街歩きにとどまらず、レンタカーで風光明媚なシー・トゥー・スカイ・ハイウェイを走ってウィスラーの山や森、村へ。また、肥沃な大地のオカナガン・バレーではワイナリー巡りや農産物販売所巡り、美しい水面の湖に心が癒されます。

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