時間旅行は夢の話ではありません。歴史に対する理解を深め、歴史に学ぶ、そんな時間旅行をしてみませんか?カナダ全土には、900以上の歴史遺産があります。何千年にも及ぶ歴史に彩られた遺産を訪ねると、様々なストーリーが生き生きとよみがえってくるはずです。アルバータ州エドモントン近くにあるのが、ウクライナ文化遺産村。伝統衣装に身を包んだガイドがアルバータ州東部・中部に入植したヨーロッパ人の物語を直接説明してくれます。オンタリオ州セントキャサリンズにあるセーレム・チャペルは、奴隷制度廃止運動の発祥地として知られています。特に、この教会所属のハリエット・タブマンは、「地下鉄道」(19世紀にアメリカで奴隷にされていた黒人たちが自由を求めてカナダに亡命することを手助けした市民組織)を指揮した伝説の人物です。

歴史上の重要性:これらの史跡は、カナダの複雑な歴史や多くの移民に光を当てるもので、こうした移民の存在は、後にカナダ文化を彩る多様性の礎となりました。カナダ・ナショナル・トラストの常任理事、ナタリー・ブル氏は、次のように語ります。「歴史が動いた現場を訪ねると、その背後にある物語を肌で感じることができます。つらいと感じることもあれば、触発されることもあります。また、複雑な心境になることもあれば、自信を深めるきっかけにもなります。歴史遺産は、過去や現在だけでなく、もっと公平な未来を築くための重要な議論の入り口になります」。理解への扉を開く:カナダ人の9割が歴史遺産保全の重要性を認識しており、遺跡発掘現場や古戦場から、歴史的建築物や史跡保存地区に至るまで、カナダの過去に学ぶ大切なきっかけになります。特に、素晴らしい未来を築くうえでこうした学びが非常に重要です。「和解」を深く知る体験:デスティネーション・インディジェナス(Destination Indigenous)では、カナダ各地で多彩な体験プログラムを実施しており、植民地主義がカナダの先住民に及ぼした影響の背後にある暗い過去について理解を深める機会になります。

深みのある旅へ:カナダには、何千年も前の先住民の遺跡から、新しいところでは移民の大量流入まで、900以上の歴史遺産があります。この限られた遺産の中から、今回は、カナダにもたらされた移民文化をテーマに、トロントカルガリーバンクーバーの各都心からアクセスしやすいことも考慮して、12カ所を選定しました。

オンタリオ州トロント
シャロン聖堂国定史跡・博物館ここに注目:19世紀のクエーカー教徒 史跡の意義:1832年建立の聖堂。クエーカー宗派の1つである「平和の子」が建立したもので、建築的に傑作とされています。「平和の子」は、平和、平等、社会正義という価値観に根ざした社会づくりを掲げています。 重要ポイント:「平和の子」の教徒らは、オンタリオ州初のホームレス・シェルターと信用組合(組合員に低利融資する機関)を設立し、カナダの民主主義を勝ち取るために重要な役割を果たしました。所在地:オンタリオ州イースト・グウィリンベリー

アイルランド・パーク
ここに注目:1847年のジャガイモ飢饉では、アイルランドで100万人が飢餓で亡くなったことから、祖国を離れて北米大陸をめざす大量移民の引き金となりました。史跡の意義:アイルランドのジャガイモ飢饉の追悼を目的とした記念館。飢饉で困窮した人々に襲いかかった想像を絶する苦難を解説するとともに、移民として快く受け入れたカナダ人の好意や寛大な姿勢を伝える施設です。興味深いポイント:2007年、アーティストのローワン・ガレスピーがアイルランドからトロントに到着した移民をテーマに彫刻を制作し、トロントのウォーターフロント地区に設置しました。これはアイルランドの首都ダブリンにある7体の飢饉の彫刻を模したもので、この結果、両都市のウォーターフロント地区の間には、歴史的な絆とともに、芸術的な絆もの生まれました。所在地:オンタリオ州トロント

ジョセフ・ブラント博物館
ここに注目:バーリントン初の市民は、先住民モホーク族でイギリス陸軍大尉。史跡の意義:同美術館は、3つのギャラリーを通じて、バーリントンの歴史を紹介しており、その1つはモホーク族の軍事・政治の指導者であるジョセフ・ブラント(本名タイエンダネギー)に光を当てています。なお、美術館の建物は、LEEDプラチナ認証を取得しています。興味深いポイント:博物館全体としては、移民、海運、産業の発達を通じて、小さな村が活気ある大都市へと発展する様子を展示しています。所在地:オンタリオ州バーリントン

ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー

サン・ヤット・セン古典中国庭園
ここに注目:中国以外の地に初めて建設された本格的な中国庭園。史跡の意義:バンクーバーのチャイナタウンの中心に位置する国定史跡。蘇州にある明朝の学者の庭園をモデルに整備されました。重要ポイント:チャイナタウンは、観光スポットであると同時に、歴史的に社会の片隅に追いやられた地区でもあります。地域の中心にある同庭園は、美、文化、風格に光を当て、各種プログラムやイベントが開催されています。その収益は、異文化間や地域間のつながり支援に役立てられています。所在地: ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー


Dr Sun Yat Sen Garden - Destination BC

ヒストリック・ジョイ・コガワ・ハウス
ここに注目:日系カナダ人作家ジョイ・コガワの生家。史跡の意義:ジョイ・コガワは幼少時代に家族とともにこの家に暮らしていましたが、1942年、多くの日系カナダ人とともに敵国人収容所に送り込まれました。現在、作家用宿泊施設や文学関連イベントに用いられています。重要ポイント:第二次世界大戦中に日系カナダ人が送り込まれた強制収容所での体験はもちろん、カナダ社会の多様な文化・民族の歴史も風化させないための〝歴史の証人〟としての役割を担っています。所在地: ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー

バンクーバー日本語学校・日系人会館
ここに注目:第二次世界大戦後に日系カナダ人に返還された数少ない施設の1つ。史跡の意義:バンクーバーのダウンタウン・イーストサイド中心を通る歴史あるパウエル・ストリート(パウエル街)沿いの国定史跡。日本語や日本文化の教育機関で、保育施設も併設されています。また、歴史遺産や地域に関連するプログラムも開催されています。重要ポイント:人種差別や社会の不正、強制立ち退き・所有権奪取などの荒波を乗り越えてきた日系カナダ人らは、再び立ち上がり、コミュニティのたくましさや力の象徴として人生を歩んでいます。所在地:ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー

ジョージア湾缶詰工場       
ここに注目:カナダ西海岸の漁業。史跡の意義:スチーブストンの伝統的な漁村にある缶詰工場。かつてはBC州で最大級の缶詰工場で、サケの缶詰製造でトップメーカーでした。インタラクティブ型の展示では、工場操業時に何百万缶ものサケ缶を製造していた設備が今に蘇ります。また、ガイドツア、各種プログラム、展示を通じて、同工場や労働者の歴史も窺い知ることができます。重要ポイント:何千年もの間、漁業は先住民の生きる糧となり、先住民文化に欠かせない柱となっています。漁業の商業化が盛んになったのは1830年代。缶詰や冷凍の技術の普及に加え、船や鉄道で遠隔地の市場に輸送できるようになったことから、何世代にもわたってさまざまな出身地の人々が職を求めて集まってきました。所在地:BC州リッチモンド


Gulf of Georgia Cannery - Destinaiton BC

アルバータ州カルガリー

ローヒード・ハウス
ここに注目:プレーリーに広がる文化の多様性。史跡の意義:砂岩で造られた大邸宅。上院議員だったジェームズ・アレキサンダー・ローヒードと妻のイザベラ・クラーク・ハーディスティ・ローヒードが暮らしました。妻のイザベラはメイティ(先住民とヨーロッパ人の間に生まれた子孫)で、「ノースウエストのファーストレディ」と言われたそうです。第二次世界大戦中は、カナダ陸軍婦人部隊の兵舎に使われました。戦時中の後期は、カナダ赤十字社が地下に献血医院を設立しました。興味深いポイント:同施設の歴史からは、プレーリーで急成長を遂げていたカルガリーが、政治・社会の中心的な役割を果たしたことがうかがえます。所在地:アルバータ州カルガリー


Loughheed House - Travel Alberta

カナダ穀物倉庫案内センター
ここに注目:カントリーエレベーター(穀物エレベーター=大型穀物倉庫)は、穀物の貯蔵施設としてはもちろんのこと、地元の人々の交流の場として、政治談義から穀物価格までさまざまな話題に花が咲きました。ときにはカードゲームで盛り上がることもありました。史跡の意義:2000年代初頭、カナダ太平洋鉄道の廃止を受け、ナントンの町の鉄道沿いにある歴史あるカントリーエレベーターの取り壊しも取り沙汰されるようになりました。この歴史あるランドマークを守ろうと市民が立ち上がり、保護・保存活動を開始。最大級のカントリーエレベーターの保存を目的、「セイブ・ワン」と名付けた歴史的な団体を立ち上げました。 最終的には、1棟だけにとどまらず、全3棟の保存・管理に成功しました。興味深いポイント:カントリーエレベーターは、アルバータ州の農業の発展を語るうえでなくてはならない存在です。所在地:アルバータ州ナントン


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