芸術の秋、カナダ各都市の個性豊かな美術館や博物館は私たちの知的好奇心を満たしてくれますが、世界最高峰のエンターテイメントも見逃せません。9月にはカナダ各都市で世界規模の映画祭が開催されます。中でも映画産業が盛んなトロントやバンクーバーは、有名な映画のロケ地も多く、映画ファンにとっては、作品を「観る」だけでなく、特別な雰囲気を「体感する」ことができるのです。
トロント国際映画祭（2023年9月7日～17日）
1976年にウィンザー・アームズ・ホテルで開催された「The Festival of Festivals」としてスタートしたことから始まるトロント国際映画祭。2010年には、映画館とギャラリー、教育施設やレストランも併設されたTIFFベル・ライトボックスもオープンしました。現在は、北米最大の国際映画祭となり、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと並び世界4大映画祭のひとつとなっています。
毎年上映される数百本の映画は、トロントのドライブインはもちろん、エンターテインメント地区のスコシアバンク・シアター、プリンセス・オブ・ウェールズ・シアター、ロイ・トムソン・ホール、シネスフィアIMAXシアターなど、トロント中の会場で上映されます。
これまでトロント国際映画祭では、『ブラック・スワン』、『127時間』、『シルバー・ライニングス・プレイブック』など、アカデミー賞にノミネートされた有名作品が数多くプレミア上映されています。また、この映画祭には独自の賞があり、審査員による賞のほか、一般観客の投票によって決まる「ピープルズチョイス賞」もあります。第28回トロント国際映画祭では、北野武監督・主演の映画『座頭市』が、このピープルズチョイス賞の最高賞に選ばれました。
2023年9月7日に開幕する第48回トロント国際映画祭では、オープニング作品として、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』の上映が決定。同映画祭において日本映画およびアニメーション映画がオープニング作品に選出されるのは初の快挙ということで注目を集めています。
バンクーバー国際映画祭（2023年9月28日～10月8日）
海と山に囲まれた西海岸バンクーバーは、毎年、数え切れないほどの映画やショーが撮影されていることから、ハリウッドノースと呼ばれています。
しかし、毎年秋に開催される「バンクーバー国際映画祭」の質の高さは、あまり知られていないかもしれません。9月下旬から開催するこの映画祭では、世界的な映画作品の上映、トークショー、ライブパフォーマンス、映画カルチャーを祝うユニークなイベントなどが催されます。2023年も、約120本の長編とドキュメンタリー、100本の短編を含む世界各国の優れた映画が上映される予定です。
カナダ西部で最大の映画祭であるバンクーバー国際映画祭は、映画そのものだけではなく、地元コミュニティとの対話や教育、そして地元アーティストの支援にも力を注いでおり、秋のカナダ旅行で「映画祭」に触れることは、カナダの都市の映画文化を肌で感じる素晴らしい「体験」になることでしょう。
