極めて重要な戦いや忌まわしい悲劇が展開された場所を実際に見て、その出来事や感情、光景や音を想像すると、歴史は一層興味深いものになります。そこで訪れてほしいのが国定史跡です。カナダには約1,000の国定史跡があります。史跡管理を行っているパークス・カナダ(Parks Canada)はカナダの史跡を「カナダにとって非常に重要な場所」と定義づけており、それには文化や遺産、先住民とのつながり、歴史的意義も含まれます。ここではカナダの州・準州の中からお勧めの史跡をいくつかご紹介します。​

アルバータ州:ロッキー・マウンテン・ハウス国定史跡

カナダを今日の姿へと作り上げたのは毛皮交易であり、アルバータ州がその歴史を示す最たる例です。レッド・ディア(Red Deer)近くのノース・サスカチュワン川沿いにあるロッキー・マウンテン・ハウス国定史跡(Rocky Mountain House National Historic Site)では、工芸品や19世紀初頭の4つの毛皮交易所の建物を見学することができます。交易所では西へ向かう冒険家たちが先住民族のブラックフット(Blackfoot)の人々と交易をしていました。昔ながらの火起こしや太鼓作りを体験したり、バノック(伸ばした生地をグリルスティックにかぶせて作る伝統的な平たいパン)を作ったり、メティが罠を仕掛ける時に使ったテントやティーピーと呼ばれる移動式住居で野営したりしながら渓谷の景色を楽しみましょう。​

マニトバ州:フォークス国定史跡

:フォークス国定史跡のフットホール - クレジット:Forks Winnipeg

流行について語りましょう:フォークス国定史跡は6,000年もの間人々が集う場所であり続けています。アッシニボイン川とレッド川の合流点で広大な水路網を結ぶ理想的な場所に位置し、探検家や土着の狩猟者、入植者、鉄道開拓者、ヨーロッパの猟師たちが集まって商売を行った場所です。現在は、色とりどりのお店が並ぶ14エーカーの公設市場やコミュニティのイベント・スペース、文化・歴史理解のための公園、ショッピングエリアやエンターテイメントエリアが集まっています。マニトバ州ウィニペグの中心部近くには歴史的建造物や歴史ある港があり、劇場やカナダ人権博物館もあります。ガイド付きツアーに参加してこの地の歴史を学び、買い物や食事、ハイキングやスキーなどを楽しみましょう。​

ヌナブト準州:イギリス海軍艦艇エレバス号/テラー号の国定沈船史跡

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ヌナブト準州のカナダ北極圏にある国定史跡はとても強く人を引き付けます。イギリス海軍艦艇エレバス号/テラー号の国定沈船史跡(he Wrecks of HMS Erebus and HMS Terror National Historic Site)は1845年に英国の探検家サー・ジョン・フランクリンと乗組員が北西航路を探査中に姿を消した場所です。その難破船の捜索が何年も続けられた後、2014年にパークス・カナダ率いる遠征隊がHMSエレバス号の残骸を発見し、これが大きな突破口となりました。その後研究者たちは、2016年に信じられないほど良好な状態でテラー湾に沈んでいるHMSテラー号を発見したのです。この国定史跡では水中考古学チームが回収した遺品や写真、品々のビデオを見ることができます。​

ブリティッシュ・コロンビア州:グアイ・ハアナス国立公園、国立海洋保護区、およびハイダ国定史跡

メイプルリーフ・アドベンチャーズのハイダ・グアイ/クイーン・シャーロット諸島ツアー - クレジット:Maple Leaf Adventures

霧深い海岸沿いに見張り番のようにそびえたつ、グアイ・ハアナス国立公園保護区、国立海洋保護区、およびハイダ国定史跡(Gwaii Haanas National Park Reserve, National Marine Conservation Area Reserve, and Haida Heritage Site)にあるハイダ族のトーテムポールは一見の価値があります。また、ブリティッシュ・コロンビア州の自然の姿をそのまま残す北海岸に位置する、驚くほど美しいクイーン・シャーロット諸島にあるスカン・グアイ(アンソニー島)の穏やかな内湾には長屋の遺構や古い家のくぼみもあります。ハイダ族の聖地であるこの村自体がユネスコ世界遺産に登録されています。遠隔地ですが旅をする価値は十分にあります。​

ノバ・スコシア州:ハリファックス・シタデル国定史跡

ハリファックス・シタデル国定史跡 - クレジット:Nova Scotia Tourism/Scott Munn

1749年、ノバ・スコシアの人たちは侵略者から町を守るため、そして大西洋を望む見晴しのよさと戦略上の重要性を考えて、ハリファックス・シタデル国定史跡(Halifax Citadel National Historic Site)となっている丘の上に要塞を作ることにしました。港町が繁栄する中、この要塞は何年もハリファックスを守っていました。フォート・ジョージ(Fort George)とも呼ばれるシタデルは、射撃時の見晴らしをよくするために内側と外側の両方が星のような独特の形をしています。シタデルへ出かけたら、衛兵の交替や軍隊行動の再演を見学する、あるいはゴーストツアーに参加しましょう。​

ケベック州:グロス・イレおよびアイルランド記念国定史跡

セント・ローレンス川に浮かぶグロス・イレおよびアイルランド記念国定史跡

ケベック州のセント・ローレンス川に浮かぶかつては検疫所だった島、グロス・イレ(Grosse Île)およびアイルランド記念国定史跡(Irish Memorial National Historic Site)は1832年から一世紀の間、ケベック港経由で移民がカナダに入植した場所でした。1847年には10万人近くのアイルランド人が祖国の大飢饉を逃れるために船に乗ってこの地を目指しましたが、不幸にも発疹チフスを患って到着した人もいました。病気のために推定3,000人がこの島で亡くなり、5,000人以上がこの地に埋葬されているため、遺族だけでなくカナダ人にとっても重要な場所なのです。より良い生活を求めてカナダを目指し、現在のような友好的な多文化国家であるカナダの建設の一助となった人々の勇敢で希望に満ちた話です。​​

ノースウェスト準州:Sahoyúé-§ehdacho国定史跡

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Sahoyúé-§ehdacho国定史跡ノースウェスト準州(Sahoyúé-§ehdacho National Historic Site)にあるサートゥ族の聖地です。カナダ最大の国定史跡のグレートベア湖に浮かぶこの2つの半島では教育や治療、霊的儀式が行われています。また、この史跡の名称は初めて先住民と共同で名付けたものです。夏にはお年寄りや若者が集って物語を語り合い、知恵を共有し、伝統技術を磨きます。観光客はそのキャンプに参加することができます。参加した人は、本当に人生観が変わるほど視野が広がる体験だと言います。

ユーコン準州:ドーソン国定歴史複合史跡

ドーソン・シティのクロンダイク国定史跡

ドーソン国定歴史複合史跡(Dawson Historical Complex National Historic Sites)でクロンダイク(Klondike)の鉱夫がいったいどういうものだったかを見てみましょう。1890年代のゴールドラッシュ時には何千人もの人々が一攫千金を狙ってユーコン準州に押し寄せました。この史跡では実際の建物や工芸品、鉱夫たちの街、年代物の機械、そして技術が展示されています。また、ドーソン・シティの旧交易所には美しく復元された大型の木造蒸気船S.S. Kenoが展示されています。かつては船がユーコン川で品物を輸送する主な手段であったことを示しています。​

オンタリオ州:リドー運河国定史跡

カナダの人々は美しい景色を織りなすオンタリオのリドー運河を愛しています。リドー運河は125マイルにも及ぶ川や湖を結ぶ屋外運動場であり、オタワ中心街を代表する観光地です。リドー運河国定史跡(Rideau Canal National Historic Site)では1830年代の運河の様子を今でも想像することができます。軍用キャンプやビクトリア朝の村々があり、主な水路沿いにある手動の閘門(こうもん)が当時を彷彿とさせます。この運河はもともと軍によって軍事防衛システムの一つとして建設されたものです。現在はこのユニークな水路に沿って船に乗ったり、魚釣りやスケートを楽しんだり、ガイド付きツアーやパドルスポーツ、水泳、キャンプが楽しめます。​

プリンス・エドワード島州:L.M.モンゴメリのキャベンディッシュ国定史跡

ルーシー・モード・モンゴメリのキャベンディッシュ国定史跡

プリンス・エドワード島州のキャベンディッシュはL.M.モンゴメリのベストセラー小説に登場する、世界中の人々の心を捉えた愉快で快活な主人公『赤毛のアン』ゆかりの地として永遠に人々の記憶に残るでしょう。L.M.モンゴメリのキャベンディッシュ国定史跡(L.M. Montgomery’s Cavendish National Historic Site))にある、切妻造りの緑の屋根が魅力的な白い家を散策し、モンゴメリの農場を見学した後は、恋人の小径や学校、お化けの森などアンが架空の冒険をした実際の場所を見学しましょう。​

ニューブランズウィック州:ボーセジュール砦 – カンバーランド砦国定史跡

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ボーセジュール砦– カンバーランド砦国定史跡(Fort Beauséjour – Fort Cumberland National Historic Site) :北米を巡ってフランス軍とイギリス軍が戦った場所で、かつて繰り広げられた緊張の瞬間を想像してみましょう。この史跡では18世紀にニューブランズウィックとノバ・スコシアの州境近くの広大な戦場で繰り広げられた、歴史上非常に重要な戦いについて学ぶことができます。星型の砦の遺跡の周囲を歩き、工芸品を見学し、風が吹き渡る平原でピクニックを楽しみましょう。

ニューファンドランド・ラブラドール州:シグナル・ヒル国定史跡

セント・ジョンズにあるシグナル・ヒル国定史跡

ニューファンドランド・ラブラドール州にある港町セント・ジョンズは北米の東端に位置しています。そして、1901年にグリエルモ・マルコーニが初めて大西洋横断無線通信に成功した場所でもあります。シグナル・ヒル・国定史跡(Signal Hill National Historic Site)までの眺めのいい道を歩いていくと、港を見渡すことができます。また、この史跡自体が17世紀から第二次世界大戦にかけて盛んに利用された軍事防衛拠点であり、その事実も同様に印象深いものです。軍隊による音楽演奏をはじめとするパフォーマンスを見たり、正午まで史跡に滞在してヌーンデイ・ガン(午砲)を聞いたり、実際にヌーンデイ・ガンに参加して大砲を打ったりもできます。

サスカチュワン州:マザーウェル・ホームステッド国定史跡

カナダ草原部のサスカチュワン州にあるマザーウェル・ホームステッド国定史跡(Motherwell Homestead National Historic Site)で開拓時代にタイムスリップしましょう。開拓者であるウィリアム・リチャード・マザーウェルはコミュニティのリーダーであり、時間とお金を節約する当時の新農法を開発した農業イノベーターでもありました。そして最終的には、農業大臣にまでなった人です。彼の農場であるラナーク・プレイスはその多くが1900年代に戻ったように感じられます。畑仕事をし、ワゴンに乗り、家畜と触れ合った後は、手作りのバターをたっぷり塗った自家製パンをたくさん味わいましょう。​

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