ワイン用ブドウの収穫期といえば秋…とは限りません。とにかくオリジナリティあふれるカナダだけに、オンタリオ州のワインづくりもかなり独特です。その独特のワインがアイスワイン。とりわけナイアガラ地域は誰もが認める世界トップのアイスワイン産地です。その秘密は、温暖な日中、冷涼な夜、そして凍てつく冬という気候にあります。​

なにやら耳慣れない「アイスワイン」という言葉。ワインが凍っているわけではなく、樹上に残したまま自然氷結させた特定品種のブドウから造られる濃厚な琥珀色のワインです。濃厚な甘口で、トロピカルフルーツを思わせる風味があり、芳醇で酸味もあります。一般的には、食前酒やデザートワインとして冷して提供される複雑な味わいで、ブルーチーズやパテ、ホタテのキャラメリゼなど、こってりとした料理や濃厚な風味と相性のいいワインです。カクテルやスパークリング・ワインに加えてもおもしろい味になります。きっとテイスティングノートには、洋ナシのオーブン焼きとかアプリコットとかウェットなスレート土壌のミネラリティ(ミネラル感)といった言葉が並ぶはずです(ちょっとわかりにくいかもしれませんが、とにかくおいしいのです)。それはさておき、アイスワインで特に興味をそそるのは、その造り方です。​

自然氷結させて収穫:ペラー・エステーツの「10 ビロー・アイスワイン・ラウンジ」​

2014年産のヴィダル・アイスワインはもちろん絶品ですが、もっとワクワクするのは、アイスワイン用ブドウの収穫の様子。月明りの下で、あるいは真夜中の凍えるような納屋で丁寧に収穫されているのです。これほど苦労の多い収穫はほかにありません。しかも、アイスワインに使える品種は非常に限られています。氷点下8度以下で氷結したままのブドウは、収穫したらすぐに搾らなければなりません。そうすることで、果汁が凝縮されて貴重な“液体のゴールド”に姿を変えるのです。これより気温が高すぎても低すぎても、自然の恵みは失われてしまいます。収穫作業の大部分は手作業頼りのため、収穫から圧搾までにかかる時間はおよそ6時間から24時間と、生産量が大きく左右されてしまうリスクがあります。ペラーエステートには、雪のブロックを積み上げて作った先住民の伝統的な家「イグルー」を模したラウンジがあります。ここに足を踏み入れれば、極寒の作業がどんなものか肌で感じることができます。もちろん、ラウンジを訪れたら、「オーク・エイジド・ヴィダル・アイスワイン」の試飲をお忘れなく。年中無休ですが、せっかくならフェスティバルの時期にぜひ。​

祝う:ナイアガラ・アイスワイン・フェスティバル

かつてノーベル平和賞を受賞したバラク・オバマ米国大統領(当時)が、ノルウェーのオスロで開催された晩餐会で味わっていたのが、カナダのアイスワイン、2003年産イニスキリン・オーク・エイジド・ヴィダルでした。祝杯をあげるにふさわしいアイスワインです。そこは産地のナイアガラも心得ていて、毎年1月になると17日間にわたって冬の恵みを祝うフェスティバルを開催しています。盛大な祝賀パーティーやツアー、試飲、シェフ同士のコラボレーション企画、ワイン醸造所のVIPディナー、各種セミナーなどが開催されます。ナイアガラ・オン・ザ・レイクのアイスワイン・ビレッジの時期がやってくると、街全体が活気に満ちあふれます。氷を巧みに使って精巧に作られたアウトドア・バーでは、アイスワイン・マティーニといった独創的なカクテルが楽しめます。もちろん、防寒用の厚手のダウンジャケットと手袋はお忘れなく!​

学ぶ:アイスワイン入門

アイスワイン用のブドウが氷結すると水分が凍るものの、氷点がもっと低い果汁は凍りません。これを圧搾すると濃縮された果汁のみが流れ出てきます。その量は、一般的なワインに使われるブドウの果汁のわずか15%。ハーフボトルのアイスワインを造るには、実に3.6キロ以上のブドウが必要なのです。このようにして濃縮された高糖度の果汁は、酵母菌の活動を抑制してしまうため、発酵にも手間がかかります。アイスワインにちなんだ豆知識をもう1つ。アイスワインは偶然の産物でした。1794年、ドイツに予期せぬ寒気が押し寄せ、霜が降りた後、ある農家が偶然発見したものだとか。こんなアイスワインにまつわる話題がいっぱいのセッションがフェスティバルには用意されています。ふるってご参加を。​

ツアー:グレープ・エスケープ・ワイン・ツアーズ

オンタリオ州のアイスワイン醸造所はナイアガラ半島やエリー湖北岸、プリンスエドワード郡に集まっています。お好みの地域を選んでワインを堪能してみませんか。そんなときに便利なのが、グレープ・エスケープ・ワイン・ツアーズが通年催行している小グループ制のドライブツアー。暖かい季節にはサイクリング・ツアー(半日コース、終日コース)も実施しています。

イニスキリン・エステート・ワイナリー:カナダ産アイスワインの草分け的存在

味わう:シャルドネ・アイスワイン

ドナルド・ジラルド氏とカール・カイザー氏がナイアガラ半島で育てたイニスキリンのアイスワインが1980年代に世界第1位の座を獲得したことをきっかけに、アイスワインの世界でカナダは一躍脚光を浴びました。「このワインが世界を魅了しているのは、ここの土壌と気候のおかげ」とカイザー氏は話しています。​

リーフ・エステート・ワイナリー:アイスワイン界の先駆者

味わう:グラン・カベルネ・フラン・アイスワイン

1980年代、カナダでいち早くアイスワインづくりに取り組んだ先駆者の一人、クラウス・リーフ氏は、一族で長年ワイン造りに携わってきた経験を引っさげてカナダに渡りました。リーフ・エステートのアイスワインは国際的に高い評価を受けており、グラン・カベルネ・フランはその傑作です。​

ピリテリー・エステート・ワイナリー:家族経営のワイナリー

味わう:ゲヴュルツトラミネール・アイスワイン

自家農園産ブドウを使ったアイスワイン醸造所としては最大手で、家族経営のピリテリー・エステート・ワイナリー。ここのテーマは「農」。世界最大のコンクリートテーブルを備えたユニークなバレルセラーが有名です。壁を見上げると、ずらりと掛けられた23脚のステンレス製の特注椅子。一族がイタリアから移住し、6代にわたってワインづくりに取り組んできた歴史を表現しているそうです。ワイン通の間ではゲヴュルツトラミネールのアイスワインに高い評価が集まっています。​

ウェイン・グレツキー・エステーツ:試飲スポット

味わう:No.99カベルネ・フラン・アイスワイン

アイスホッケーの世界で「グレート・ワン」の愛称で人気を集めた往年の名選手ウェイン・グレツキー氏。そんなグレツキー氏が自身の慈善活動の資金集めにと始めたワイナリーでは、一貫して人気のワインを世に送り出しています。生産拠点はブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン渓谷にあり、ナイアガラ・オン・ザ・レイクのお店「ワイン・カントリー・ヴィンターズ」で自慢のアイスワインを味わうことができます。おすすめは、No.99カベルネ・フラン・アイスワインです。

お気に入りのアイスワインを見つかったら、この地域ならではの楽しみもお見逃しなく。オンタリオ州の田園風景広がるワインの郷や周辺エリアには、見どころや体験スポットがたくさんあります。​

オンタリオ州産アイスワインがますます身近に感じられるようになったのではないでしょうか。オンタリオ・トラベルのウェブサイトで旅行の計画づくりをしてみませんか。

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