「カナディアン・ロッキーで最も美しい音は、静寂ではないか」
エド・ハンター アルバータ州バンフを拠点に活動するスキーヤー、映画カメラマン、写真家、作家

長さ4,800キロ以上に及ぶロッキー山脈は、北米最大の山系となっています。カナダ西部のブリティッシュ・コロンビア(BC)州、アルバータ州から、米国南東部のコロラド州、アイダホ州、モンタナ州、ユタ州、ワイオミング州、ニューメキシコ州まで広がっています。ロッキー山脈は、少なくとも100の山々が連なっています。カナダ領内のカナディアン・ロッキーに絞って言えば、東はアルバータ州の内陸平原とBC州北東部の間から、西はBC州のロッキー・マウンテン渓谷まで続きます。北端は、BC州北部のリアード川に達し、南端は米国のアイダホ州とモンタナ州の州境にまで至ります。最高峰の魅力:カナディアン・ロッキーの最高峰と言えば、標高3,954メートルのロブソン山。ロブソン山州立公園は、世界最大級の保護区の一部を構成し、車でアクセス可能なキャンピング施設から、奥地にあるほぼ手つかずの渓谷まで、多彩な環境が揃っています。また、フレイザー川の源流も保護区に含まれています。年間を通じて楽しめる公園でたっぷり遊び尽くすなら、ベールマウントで拠点となる宿の確保を。さまざまな川の源流:カナディアン・ロッキーには、標高3,350メートルを超える山々が50もあります。また、カナディアン・ロッキーには、フレイザー川、コロンビア川、ノースサスカチュワン川、ボウ川、アサバスカ川など主要河川の源流もあります。

カナダならではの特徴:カナディアン・ロッキーと米国のロッキーの違いは地理だけではありません。カナダ側の山々は、石灰岩や頁岩といった堆積岩でできています。一方、米国側は、片麻岩や花崗岩といった変成岩・火成岩で主に構成されています。さらに、カナディアン・ロッキーは、氷河に覆われたエリアが多いこともあって、鋭く尖った山々やU字形の幅広い渓谷が見られるなど、米国側に比べて変化に富んだ景色が楽しめます。米国側の山々は丸みを帯びていて、川の浸食によるV字形の渓谷が見られます。注:ブリティッシュ・コロンビア州南部のロッキー・マウンテン渓谷の西にある山々は、コロンビア山脈と呼ばれ、カナダの地質学者の間では、カナディアン・ロッキーの一部とはみなされていません。ご存知ですか:カナディアン・ロッキーには、バンフ国立公園、ジャスパー国立公園、クートニィ国立公園、ヨーホー国立公園という4つの国立公園と、マウント・ロブソン州立公園、マウント・アシニボイン州立公園、ハンバー州立公園という3つの州立公園があり、7公園全体でユネスコ世界遺産の「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」を構成しています。公園には、氷原や峡谷などの氷河による地質作用、浸食・沈積の好例に加え、カンブリア紀のバージェス頁岩化石地層、先カンブリア時代の地層もあり、地球の進化に関する重要な情報の宝庫となっています。大分水界:ロッキー山脈分水嶺は、大陸の流域を分け、ここから河川が始まり、やがて海に注ぎ込みます。カナダを代表するロッキー山脈分水嶺は、カナディアン・ロッキーの尾根伝いにあります。その威厳はいまだ衰えずカナディアン・ロッキーが形成されたのは8000万年〜5500万年前。大陸プレートが活発に移動していた時期のことでした。このプレート活動の結果、北米大陸の西部に幅広い山脈が形成されました。原形とも言うべきロッキー山脈は、その後のさらなる地殻の活動と氷河による浸食を繰り返し、やがて現在の壮大な山々や渓谷へと変化したのです。


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文化交流の接点:カナディアン・ロッキー地域に最初に人類が姿を現したのは1万1000年以上前のこと。そのころ、サーモンが豊富に集まる海岸沿いには、先住民の集落が次々にできていきました。こうしたファースト・ネーションズ(北米インディアン)と呼ばれる先住民の中でも、特にカナディアン・ロッキーを神聖なる地として崇め続けているのが、ストーニー・ナコダ(「山の人々」の意)族です。ストーニー・ナコダ族は、山の精霊への信仰の証しとして、工芸品、宝飾品、道具類、衣装を作るなど、カナディアン・ロッキーの歴史と深い関わりがあります。例えば、ストーニー・ナコダ族のアーティスト、ローランド・ローリンマッドがアルバータ州のデッドマンズ・フラッツを描いた作品があります。ストーニー・ナコダ族はこの地で薬草を摘み、成人儀礼の「ビジョンクエスト」を開催し、狩猟に駆け回ってきただけに、土地自体が先住民の心の拠りどころになっていることが、この作品からうかがえます。想像を刺激する風景:今もカナディアン・ロッキーは世界中のアーティストの想像を刺激し続けています。ドイツ・ベルリン生まれの画家、カール・ルンギウスは、北米屈指のキャリアを誇る野生動物画家として知名度が高く、オオツノヒツジやクマ、エルクなどカナディアン・ロッキーに生息する動物を描いた素晴らしいシリーズ作品を生み出しました。ロシア生まれのニコラス・デ・グランメゾンは、アーティスト人生の大半をかけてカナディアン・ロッキー先住民の姿を作品に残してきました。また、画家集団「グループ・オブ・セブン」は、カナディアン・ロッキーを含め、カナダらしい風景を見事な絵画に残したことで一躍有名になりました。このグループには、イギリス生まれで1924年から毎年夏になるとインスピレーションを求めてカナディアン・ロッキーを訪れたジェームズ・マクドナルドもいます。

山の野生動物:国連がカナディアン・ロッキー山脈自然公園群を世界遺産に登録した理由の1つに、生息動物の驚異的な多様性が挙げられます。オオカミ、コヨーテ、ムース、エルク、シカ、オオヤマネコ、クーガー、シロイワヤギ、オオツノヒツジ、グリズリー、アメリカクロクマを始め、何百種もの鳥類、爬虫類、魚類、さらには何千種もの昆虫類などが生息しています。カナダ国立公園局のウェブサイトでは、カナディアン・ロッキー山脈自然公園群を構成する各公園について紹介しており、それぞれに生息する固有種の解説もあります。


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癒しを求めて:カナディアン・ロッキーは、昔から癒しや充電の場として人気を集めています。1880年代、ミネラル分が豊富に含まれる温泉が発見されると、地元はもちろん、海外でも認知度が高まり、バンフ国立公園の誕生へとつながります。1886年、湯治効果を謳うグランド・ビュー・ビラ・ホテルと温泉施設がオープンすると、保養施設として大きな人気を集めました。今では、カナディアン・ロッキーに世界中から観光客が訪れ、温泉保養施設を楽しんでいます。もちろん温泉以外にも、フェアモント・シャトー・レイク・ルイーズのヨガやウェルネスの施設、バンフ・ロッキー・マウンテン・リゾートのスピリチュアル施設、カナナスキス・ノルディック・スパのハイドロセラピーに重点を置いたスパ施設などが揃っています。


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極上の水:バンフ国立公園とジャスパー国立公園の間にあるコロンビア大氷原では、世界でもまれに見るフレッシュな淡水に出会えます。ここで誕生する雪解け水は、北極海、大西洋、太平洋に注ぎます。現在、地域の飲食店で、このとびきり新鮮な手つかずの水を味わうことができます。例えばバンフ・アベニュー・ブリューイングでは、氷河から溶け出した氷河水でクラフトビールを醸造しているほか、パーク・ディスティラリーでは、氷河水を使って少量ずつ職人の手による蒸留作業で生み出されるスピリッツ類が楽しめます。さまざまなブルーの表情を見せる湖面:バンフ国立公園とジャスパー国立公園をつなぐアイスフィールド・パークウェイ沿いに広がる湖は、ターコイズのボウ湖や翡翠色のルイーズ湖など、さまざまな表情のブルーを堪能できます。こうしたブルーの変化は、氷河から流れ込んで湖の水中に漂うシルト(微粒子)を照らす太陽光の角度の違いによります。湖の色は、7月から8月にかけて特に美しい輝きを見せます。3つの海の源流:パークウェイの近くには、アサバスカ氷河もあります。スノードーム山を覆うように広がる巨大な氷河です。ロッキー山脈分水嶺に位置するスノードーム山は、世界でも珍しい「3分水嶺の山」です。つまり、スノードーム山の山頂から溶け出した水は、北は北極海、西は太平洋、東は大西洋に注いでいるのです。

数々の公園:カナディアン・ロッキーには、カナダならではの自然の驚異が詰まっています。この地域には5つの国立公園があり、そのうち4つ(バンフジャスパークートニィヨーホーの各国立公園)は、山に直接抱かれた立地で、いずれもカナディアン・ロッキー山脈自然公園群を構成しています。カナディアン・ロッキーでは、広範囲に整備されたトレイルでハイキングやサイクリング、透明感のある湖や氷河の見学、光害のない世界屈指の暗さで定評ある夜空での星空観察が楽しめます。スリル好きには、マウンテンバイク湖でのカヤック冬場の氷結した渓谷の横断などもあります。野生動物観察迫力ある滝の写真撮影温泉で癒しのひとときなど、のんびり派もたっぷり楽しめます。

クマの世話:クマの保護で世界的なリーダーでもあるカナダ国立公園局のノウハウや専門知識の大部分は、カナディアン・ロッキーの国立公園での保護活動にから得られたものです。同公園局では、クマの保護には、その土地ならではの生物多様性、自然作用、人間による利用などを考慮した複雑なアプローチが必要になることがわかりました。現在、バンフ、ジャスパー、クートニィ、ヨーホーの各国立公園では、クマに関するさまざまな管理施策が実施されています。そのほとんどは、危惧種に指定されているグリズリーの保護を対象としたもので、グリズリーの状況は、この地域の全公園に生息する種の重要な指標になっています。野生動物を守るための回廊:ここ数年、国立公園管理局は、カナディアン・ロッキーにある各公園を貫くトランス・カナダ・ハイウェイで野生動物と車の衝突事故を減らそうと、カナディアン・ロッキー野生動物のための歩道橋設置に取り組んでいます。こうした歩道橋は、世界的に動物保護の成功事例と見られており、実際に野生動物との衝突事故は80%も減少しています。動物保護のリーダー:国立公園管理局は、カナディアン・ロッキーで数々の動物保護の計画を進めています。具体的には、南部の山間部に生息するカリブー個体数回復計画、バンフ国立公園へのバイソン(絶滅危惧種)の再導入、クートニィ国立公園での野生動物専用の横断通路の整備などがあります。


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