神秘的で美しく、ときには思わせぶりな面も…。といっても、映画のヒロインではなく、オーロラの話です。この世のものとは思えない美しさで見る者の心をつかんで離さない自然現象、オーロラ。その姿を一目見ようと、世界中から人々が集まってきます。

 

そこで今回は、カナダでオーロラ観賞に理想的なスポットのほか、オーロラ観賞の方法や時期、とことん楽しむためのアイデアもご紹介します。ノースウエスト準州のティピー・ビレッジにある居心地の良さそうな観賞カプセルから、ニューファンドランド&ラブラドール州の人里離れた山中のベースキャンプに至るまで、多彩な楽しみ方があります。

オーロラの発生のしくみ

アルバータ州の国立公園にあるバーミリオン湖 写真:Travel Alberta

オーロラは極地で見られる現象(南半球には観賞に適した陸地がないため、主に北半球で楽しめる現象)で、太陽からの荷電粒子が太陽風に乗って地球に吹き付けられ、地球の大気圏に突入して酸素や窒素と衝突することで発生します。太陽の活動が活発になると、オーロラの出現確率も高まります。オーロラは英語で正式には「Aurora Boreas」(オーロラ・ボレアス)と呼ばれています。「Aurora」は、ローマ神話の曙の女神「アウロラ」に由来し、「Boreas」はギリシャ神話の北風の神「ボレアス」に由来します。オーロラが発生する地域をオーロラ・オーバルと言いますが、実はカナダ北部の大部分が北半球のオーロラ・オーバルに入っています。

オーロラの人気の秘密

何よりもオーロラは神秘的。だからこそこれほどの魅力があるのです。息をのむほど素晴らしい自然現象であり、しかもいつ出現するのか保証はありません。とはいえ、特に地球の磁極に近い北極地方であれば、出現のチャンスは十分にあります。色とりどりの幻想的な光を生み出すオーロラ。その光は、ときに弧を描き、ときにゆらゆらと波打つカーテンのように踊ります。また、霧のようなたなびきになったり、半透明の雲のように見えたりすることも。神秘的なグリーンになることもあれば、紫やピンク、黄色にきらめくこともあります。最も一般的な色はグリーンで、赤く見えることはまれです。さまざまな色がジグザグに動き、ときに驚くほど素早く変化することもあることから、漆黒の夜空で繰り広げられる「ダンス」と形容されることもあります。

オーロラ観賞の場所・時期

飛行機でアクセスするノースウエスト準州のブラッチフォード・レイク・ロッジ上空に現れたオーロラ 写真:Tessa MacIntosh

実はカナダでは、季節を問わず、ほぼどこでもオーロラが出現する可能性があります。とはいえ、オーロラ観賞のベストスポットは北極地方。この辺りでは、オーロラの動きが最も活発になります。特におすすめは、観賞の邪魔になる光が少ないか、まったくない人里離れた地域です。また、曇っているとオーロラは見えません。ブリティッシュ・コロンビア州など沿岸地域にいる場合は、海霧を避けて北をめざしましょう。次になるべく高い場所を探します。冬場(12月〜3月)は夜が長いうえ、寒く空気の澄んだ夜が多くなるため、特に幸運に恵まれる季節。時間帯はどうでしょうか。ベストは真夜中です。午後10時から午前2時にかけての時間帯になるため、夜更かし覚悟で。カナダのあらゆる地域で(運が良ければ)オーロラに出会う可能性はあるとはいえ、やはりしっかり観賞するには、以下で紹介するベストスポットがおすすめです。

ノースウエスト準州

秋・冬

ノースウエスト準州のブラッチフォード・レイク・ロッジ 写真:Blachford Lake Lodge/Martina Gebrovska

カナダで一押しのオーロラ観賞スポットといえば、ノースウエスト準州。通常、年間240日は観賞できます。最適な時期は秋から冬にかけて(もおすすめです)。 

 

秋:人里離れた場所が好きなら、イエローナイフから小型軽飛行機で空の散歩を楽しみながら、美しい自然に囲まれたブラッチフォード・レイク・ロッジをめざしては。ここは道路が通じていないため、アクセスは飛行機だけなのです。デッキにしつらえたホットバスタブで温まりながら、あるいは海を見渡すドーム型の岩山からオーロラ観賞を楽しみます。それだけではありません。オーロラ観賞に、ハイキングや釣り、カヌーなども組み合わせれば、楽しみはもっと広がります。

 

冬:雪と氷のワンダーランドとのコントラストがオーロラをますます引き立て、ドラマティックなひとときを味わえる冬。オーロラ観賞を最も手軽に楽しみたいなら、イエローナイフ郊外のティピー(テント)が点在するオーロラ・ビレッジでゆったりくつろぎながらの観賞はいかが。オーロラ観賞専用に特別に設計されたオーロラ・ビレッジには、薪ストーブ付きのゆったりスペースのティピー、毛皮を使ったソファ、リクライニング機能付きの暖房付き観賞カプセルが揃っています。

マニトバ州

秋・冬

マニトバ州チャーチル 写真:Alex de Vries

マニトバ州北部は、ハドソン湾に面する北極に近い地域に位置します。同州には、オーロラ観賞地として「地球上で3本指に入る場所」と謳うチャーチルがあります。実際、オーロラ調査のために世界中の研究者が人口わずか850人の町に続々と集まってきます。ちなみにここはシロクマ(ホッキョクグマ)の生息地としても知られています。ただでさえ素敵なオーロラですが、旅をもっと特別なものにするなら、ぜひ野生動物観察を。ベルーガ、シロクマ、ホッキョクギツネとの出会いは素敵な思い出になります。ベストルートはウィニペグ経由でマニトバ博物館に立ち寄り、まずはオーロラや上手な撮影方法の予習から。

 

晩冬:チャーチルのオーロラ観賞のハイシーズンは、気温がマイナス40度まで下がり、冷え込みが最も厳しくなる2月から3月。経験豊富な現地ツアー会社フロンティアーズ・ノースでは、暖房完備で内部にバーまで備えたツンドラ・バギーに乗り込み真夜中に出発します。バッテリーは気温が急激に下がると機能低下に陥ることがあるため、予備のバッテリーを用意しておきましょう。ポーラー・イン&スイーツでは、防寒着のレンタルもあります。突然の出現に合わせて写真に収めるのをお忘れなく。できればいつもカメラを手にしていれば、シャッターチャンスを逃すこともありません。

 

秋:オーロラ観賞の時期として2番目におすすめしたいのが9月〜10月。9月中旬までなら、ウィニペグから飛行機で2時間のエイキンズ・レイク・ウィルダネス・ロッジで大物狙いの釣りに興じた後、心地よいデッキでオーロラ観賞が楽しめます。

ユーコン準州

秋・冬・春

オーロラ観賞、野生動物観察、温泉が楽しめるホワイトホース。 写真:Arctic Range Adventure

ゴールドラッシュの時代から西部開拓の舞台となっているユーコンは冒険心をくすぐる伝説の地とされています。9月から翌4月にかけての時期は、犬ぞりやファットバイク、あるいはかつて金採掘者らの暮らしを彷彿とさせるボートで川下りを楽しみ、夜はオーロラ観賞。夏は、極地特有の真夜中の太陽があるため、夜空が明るく、オーロラ観賞にはあまり向いていませんが、それでも旅の魅力はたくさんあります。

 

秋:現地ツアー会社ノーザン・テールズでは、ホワイトホースからほど近い大自然の中で、往年の金採掘者のテント生活を追体験できる環境で宿泊施設を運営しています。同社では、ワイルドなドラム缶ストーブや熱々の飲み物など、快適に暖をとりながら、オーロラの出現を待つ環境を整えています。

 

晩冬〜早春:冬にはノーザン・テールズが多彩なオーロラをテーマにしたパッケージやツアーを取り揃え、スノーシューイング、穴釣り、スノーモービル、犬ぞりなどのアクティビティも充実しています。アークティック・レンジ・アドベンチャーズの運営するオーロラセンターにもゆったりくつろげる空間があります。断熱効果抜群で充実した設備を備えたユルト(テント)か、先住民スタイルの心地よいティピーから選択できます。野生動物観察、犬ぞり、タキーニ温泉も組み合わせれば、ますます楽しい旅になります。マウンテンバイクのプロチーム、ボレアル・エクスプローラーズでは、メンバーがガイド役を務めるスノー・バイキング&オーロラ・パッケージを提供しています。このほか、オーロラにスノーモービルや犬ぞりを組み合わせたプランも各種あり、ベースキャンプにはホワイトホース近くのスタイリッシュなエコ・ロッジやユルトビル(Yurtville)が利用できます。

ヌナブト準州

秋・冬

春のアークティック・ヘイブン・ウィルダネス・アドベンチャーズでは、カルブーの群れの大移動やオーロラが楽しめます。 写真:Arctic Haven Wilderness Adventures

ツンドラと極北の大地がどこまで広がるヌナブトは、オーロラ観賞に絶好の環境です。春から夏にかけてのヌナブトは、まるで昼が無限に続くかと思えるほどの日々が続きます。それもそのはず、5月から8月の日照時間は1日16時間!しかも、6月〜7月には日照時間が1日24時間、つまり白夜の季節になるのです。このため、オーロラ観賞には、夜が長くなる10月から4月がおすすめです。例えば12月なら、日照時間は1日わずか4時間しかありません。この時期には、地元の人々も夜空に頻繁に出現するオーロラを堪能します。

 

冬:キミルトのような人里離れた伝統的なイヌイット居住地域を訪れたら、ぜひ体験したいのが、カヤックに乗って氷山見学。また、ホエール・コーブでは、オーロラ観賞を楽しんだ翌日は釣りやベルーガ観察を。

 

初秋:アークティック・ヘイブン・ウィルダネス・ロッジでは、日中はカリブー大移動のルートをたどり、夜はオーロラ観賞。実はこのロッジはオーロラ観賞に理想的な緯度に位置していまます。このため、冷え込む秋の夜にオーロラを楽しめる確率も非常に高いのです。同ロッジは、ハドソン湾西側のエナダイ湖湖畔に広がるツンドラ地帯、バレンランズにあります。アクセスは、ノースウエスト準州イエローナイフから小型軽飛行機でひとっ飛び。オーロラだけでなく、燃えるような秋色に染まった景色、グリズリーやオオカミといった野生動物観察も楽しめます。重ね着できる厚手の服やハイキング用の防寒靴はもちろん、変わりやすい天候への備えも万全に。

ニューファンドランド&ラブラドール州

トーンガット山脈のベースキャンプと観測基地 写真:Chris Sampson

人里離れた静けさを求めているなら、ぜひニューファンドランド&ラブラドール州へ。特にラブラドール地方には美しい手つかずの大自然がたっぷりと残っています。冬季は、オーロラがゆらめく夜空の下、スノーモービルで1500キロ近いトレイルを走破する体験はいかが。さらに、スノーシューイングやクロスカントリー・スキー、ハンティング、穴釣りも組み合わせることができます。

 

夏:ラブラドール半島にあるトーンガット山脈国立公園で一生に一度は挑みたい冒険の旅を。きっと壮観な景色が味わえるはずです。これまで見たこともないような印象的な地形、40億年という気が遠くなるような時間が生み出した岩だらけの世界、イヌイットの伝統的な生活を垣間見ることができます。毎年夏になると、人もまばらな地域に設置されるトーンガット山脈のベースキャンプ・観測基地。ここでイヌイットの長老たちや世界各国から集まってくる研究者との交流が生まれます。もちろん、大自然の中で観賞するオーロラは忘れられない思い出になるはずです。

オンタリオ州

オンタリオ州レッドレイクに出現したオーロラ 写真:Harlan Schwartz

極北地方や北極圏はオーロラ出現の確率が高いことは確かですが、オンタリオ州など、もっと緯度の低い地域でも頻繁に貴重なオーロラを観賞するチャンスがあります。

 

秋:オンタリオ州では、9月〜10月がオーロラ観賞のベストシーズンです。当然のことながら、美しいオーロラを最高の条件で楽しむためには、観賞の邪魔になる環境光がなるべくない郊外に出る必要があります。州内でオーロラ観賞の場所としてのおすすめは、マニトゥーリン島クリー・ビレッジ・エコロッジプカスクワ国立公園。たっぷり楽しみたいなら、キラーニー・マウンテン・ロッジゴードンズ・パーク・エコ・リゾートムーソニーなど、オンタリオ州を代表するオーロラ観賞対応施設を利用するのもいいアイデアです。州北部でオーロラの出現を待つ場合、ほかにも多彩なアトラクションやアウトドアのアドベンチャー体験が楽しめます。実はオンタリオ州は、ハドソン湾と五大湖に面し、自然豊かな風光明媚なスポットも多く、旅の魅力にあふれています。

アルバータ州

バンフ国立公園のハーバート湖 写真:Travel Alberta

そびえ立つカナディアン・ロッキー、空にはゆらめくオーロラ。その姿を、氷河が流れ込む湖の湖面が鏡のように映し出す…。そんな絶景がここにはあります。アルバータ州北部は、アサバスカ大学の地球物理観測所の拠点になっていて、オーロラの磁気が地球に与える影響について研究活動が行われていることからもわかるように、おすすめ観賞スポットなのです。科学者は別として、普通に観賞するなら見晴らしの良いバンフ国立公園がおすすめです。

 

秋:バンフ国立公園は、夜は真っ暗になり、光害の心配がないことから、オーロラ観賞に理想的です。9月から月中旬にかけて最もオーロラの活動が活発になります。秋はキャンプのほか、ハイキングやカヌーなどカナディアン・ロッキーならではお人気アクティビティを組み合わせ、快適にオーロラ観賞を楽しむことができます。オーロラの見頃に関する情報は、オーロラ・ウォッチで確認できます。バンフからオーロラ観賞が可能とはいえ、もっと人里離れた場所で楽しみたいという方には、手軽にアクセスできるミネワンカ湖はいかが。オーロラ観賞地としても好条件が揃い、街からわずか10分ほどの至近距離にあります。また、レイク・ルイーズに向かう途中にあるキャッスル・ジャンクションやアクアマリンの湖面が美しいペイトー湖、人気の高いハーバート湖もおすすめです。また、州内には、世界最大級の星空保護区が2つもあります。1つめは、野生のバイソン5000頭が暮らすウッド・バッファロー国立公園、そしてもう1つが、風光明媚なジャスパー国立公園です。保温効果の高い寝袋を持ち込んでキャンプを楽しみながら、深夜の壮大な光のショーを待ちましょう。

 

オーロラは何度見ても、その神秘的な姿に魅せられてしまいます。心を奪われるような魅惑の光景、それでいてはかないところがオーロラの醍醐味なのです。さあ、旅のプランを考えてみませんか。

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