圧倒的なスケールの自然、多種多様な文化、個性あふれるグルメ、そして心輝くカナダの人々。それは、カナダという国が歴史の中で作り上げてきたものであり、これからも持続可能な取り組みによって、未来に伝えていくもの。そんなカナダを知れば知るほど、あなたの旅はもっと豊かになります。ここでは、そんなカナダでおすすめしたい体験の一部を紹介します。
カナダ西海岸で先住民文化との触れ合い(バンクーバー)
カナダの歴史や文化に大きな影響を与えている先住民。バンクーバー空港に到着すると先住民アーティストの「歓迎のトーテムポール」が迎えてくれます。バンクーバー中心部にある市民の憩いの場、スタンレーパークを散策したら、公園内に設置されているトーテムポールを目にします。ますます先住民文化への好奇心が高まったら、トーテムポールの展示や地元の先住民族によるアートなど、約53万5000点に及ぶ民族学・考古学的収蔵物を誇るUBC人類学博物館へ。ユニークなコレクションの数々とその奥深さに圧倒されることでしょう。バンクーバーからウィスラー方面まで少し足を延ばせば、2010年冬季オリンピックに先駆け完成した「スコーミッシュ・リルワット・カルチュラルセンター」があります。ここは先住民スコーミッシュ族とリルワット族が暮らしていた場所。ガラス張りの曲線の建物が目を引くこの施設では、先住民ダンスやトーテムポール彫刻の実演は、私たちにサステナブルな文化の存在を感じさせてくれます。そして先住民の伝統的なパン「バノック」を味わってみましょう。
絶景ワイナリーで舌鼓を打つ(オカナガン地方)
カナダ西部、ブリティッシュ・コロンビア州の内陸部に位置するオカナガン。この峡谷は太古の昔、氷河が大地を削り取ることで誕生しました。南北に細長く伸びるオカナガン湖の左右に連なる山々は、まだ波経つことのない早朝の湖面にその姿をくっきり映し出します。なだらかに下っていくブドウ畑の先にはオカナガン湖が広がり、オカナガンは「世界一美しいワイン産地」と呼ばれています。オカナガン産ワインは、防腐剤を添加しない地産地消のオーガニックワインです。極上のワインに生まれ変わるブドウを機械で摘むことはありません。人の手でひと房ひと房、丁寧に収穫しています。絶景の中から生まれる極上のワインは今、そのレベルの高さから世界の注目を集め、峡谷は好みのワインを求めて散策するワインツーリズムの人たちが行き交います。極上のワインを静かにグラスに注ぎ入れると、かぐわしい香りが立ち昇り、ふと目をあげると、世界一の峡谷に包まれていることに改めて気づかされます。ワインを口に含み、贅沢すぎるこの瞬間を存分に味わいたい。絶景のオカナガンから、「心輝く旅」が始まります。
<関連コンテンツ>オカナガンワインの大逆転
ノースウエスト準州で極上のオーロラ体験(ブラッチフォード・レイク・ロッジ)
カナダ極北で特別なオーロラ観賞体験を。オーロラベルトの真下に位置するイエローナイフは、晴天率が高く、オーロラ観測率が高いため、オーロラの聖地として知られています。そのイエローナイフから水上飛行機で約30分、広大な森と湖に囲まれた場所に佇む秘境「ブラッチフォード・レイク・ロッジ」があります。ここでは、手つかずの自然の中、夏は湖でのカヌーやフィッシング、冬はスノーシューやアイスフィッシングなどが楽しめます。また、環境にやさしいことを意識しており、再生エネルギーを積極的に使用し、地産地消の食材を用いた食事を提供しています。贅沢な時間と共に自然と共に生きることを大切を体感できます。その素晴らしさは、2011年7月にハネムーンで訪れた英国のウィリアム王子とキャサリン妃を魅了したことでも有名です。夜、焚き火を囲みながら、仲間とオーロラを待ちながらゆっくりと語り合いましょう。そして夜空に広がる神秘的なオーロラに抱かれたとき、自然への畏敬の念とともに、心が輝く瞬間に気付くことでしょう。
<関連コンテンツ>カナダでオーロラ観賞を楽しむベストスポット
カナディアン・ロッキーで絶景ゴルフ体験(フェアモント・バンフスプリングスGC)
雄大な大自然が厳然と存在し、そこに野生動物が数多く生息し、人と自然が共生している世界遺産カナディアン・ロッキー。その自然の尊さを感じながら、絶景ゴルフ体験ができるゴルフコースが、バンフ国立公園にあるフェアモント・バンフスプリングス・ゴルフコースです。カナダの有名なゴルフコース設計者であるスタンレー・トンプソンが、1928年にボウ川沿いに18ホールのコースを最初に設計。その後、1989年に9ホールのコースが加わり、初心者からベテランまでが十分に楽しめる全27ホールのチャンピオンシップ・ゴルフコースへと成長しました。長い年月をかけて氷河が削った谷に作られたコースは自然に囲まれ、プレー中にエルクなどの野生動物と遭遇することも珍しくありません。ゴルフの後には、フェアモント・バンフスプリングス・ホテルの人気の施設「ウィロー・ストリーム・スパ」でリラックス。かつて鉄道作業員が偶然にも温泉を発見したことがきっかけで誕生したバンフ国立公園で、自然と共生することの歓びとともに、最高のひと時を過ごしましょう。
<関連コンテンツ>鉄路の皇帝 ヴァンホーン
ツンドラバギーでホッキョクグマとの出会い(チャーチル)
カナダ、マニトバ州チャーチルは人口約800人の小さな町。毎年10月から11月、ハドソン湾の凍結が始まると餌のアザラシをもとめてホッキョクグマたちが集まるため、「ポーラーベア・キャピタル(ホッキョクグマの首都)」と呼ばれています。ホッキョクグマ観察ツアーを催行するフロンティア・ノース社は、特別に設計された専用車両を使い、チャーチル野生動物管理区を移動し、野生のホッキョクグマと触れ合う機会を旅行者に提供しています。同社は、この特別な地域を訪れる人と感動を共有しながら、この環境とそこに生息するホッキョクグマの脆弱性を認識することを重視しています。彼らがホッキョクグマとの出会いを通して伝えたいことは「サステナブル(持続可能)」の大切さです。それは、単に動物保護を意味するのではなく、自分たちが旅行する場所にプラスの影響を残し、脆弱な生態系に留意し、他の人々がより持続可能であるようにと刺激するため、絶えず取り組むことを意味しています。
自然の造形、ナイアガラの滝でアドベンチャー体験(ナイアガラ・フォールズ)
壮大な絶景と響き渡る轟音。そこは世界三大瀑布のひとつで、地質学上の驚異とも言えるナイアガラの滝。約18000年前、オンタリオ州南部は厚さ3000mの氷床に覆われていました。その後、長い氷期の期間を経て氷河は岩盤を削って五大湖を生み出し、最後の氷期が終わった約13000年前に地球が温暖化によって氷は一気に溶け出し、大量の融雪水を放出。そして約12000年前に現在の姿のナイアガラの滝が形成されましたと言われています。そして現在は、ものすごい水量のナイアガラの滝の水は、電力供給のために流用されており、カナダの人々の暮らしを支えています。
大自然によって創造された力強さと美しさを感じさせる大瀑布は世界中の人々を魅了。現在、遊覧船で滝壺に接近したり、ヘリコプターで上空から眺めたり、その迫力やスケールを味わう様々なアトラクションがあります。中でも新たなアトラクションとして注目を集めているのが、ナイアガラ渓谷の上をカナダ滝に向かって滑走する「ワイルドプレイ・ミストライダー・ジップライン」です。ナイアガラの滝の偉大な自然の力を体感できる、迫力満点のアドベンチャー体験です。
<関連コンテンツ>ナイアガラの滝の偉大な力
<関連コンテンツ>ナイアガラのサステナブル・ツーリズム
旧市街で歴史探訪街歩き(ケベックシティ)
セント ローレンス川沿いに位置し、フランスの香りが漂うケベックシティを歩きながら、その歴史と文化に触れてみましょう。大聖堂や教会など中世フランス様式の建物、そしてお洒落なカフェやギャラリーに魅了されます。街の中心部に位置する「戦場公園」はかつて英仏戦争の舞台となった場所ですが、フランスが敗北し、イギリス領となった後もフランス系の人たちが数多く生活しており、 1774年にフランスの法律や信仰を保証する「ケベック法」が制定されました。北米におけるフランス語とフランス文化は継承され、今でもケベックにはフランス文化が根付いています。ケベックシティでゆっくりと街歩きをしていると、目の前にあるもの、そして出会う人々から、それを感じることができるでしょう。ケベックの人たちが大好きな言葉「Joie de Vivre(生きる歓び)」の意味と共に。
<関連コンテンツ>フランス、イギリス、アメリカとオタワ
ニューファンドランドでアートに触れる(フォーゴ・アイランド・イン)
カナダ極東のフォーゴ島は、2500人あまりが暮らす小さな島ですが、近年、世界中の芸術家や建築家を虜にする島として注目されています。そのランドマーク的な存在として知られるのが、海岸沿いの岩場に佇むユニークな外観の「フォーゴ・アイランド・イン」です。フォーゴ・アイランド・インを経営するのは、フォーゴ島出身の女性起業家ジータ・コブ氏。彼女は、ハイテク企業のビジネスで得た莫大な資金を使って、タラ漁が衰退した故郷を再生することを決意。ニューファンドランド生まれの建築家トッド・サンダース氏にデザインを依頼して、2013年に完成させました。地元のタラ漁で使われている高床式の干塩小屋をイメージしたものであり、建物を支える何本もの柱は、岩場への衝撃を抑えるというアイデアによるもの。ホテル内にはアートを感じさせる空間が溢れ、中でもギャラリーは、アーティスト達の作品発表の場として注目を集めています。人口の減少で寂れていく一方だったフォーゴ島に生まれた観光ビジネスは、この土地に新たな活気をもたらしました。観光客の往来によって、地元の文化、知識、社会的関係、そして天然資源が強化され、持続可能なビジネスとしてフォーゴ島の未来を支えています。
世界屈指の干満差を体感する(ホープウェル・ロックス/ファンディ湾)
世界の七不思議のひとつに数えられ、ユネスコの生物圏保護区にも指定されているファンディ湾。ここはジェットボードからホワイトウォーター・ラフティングまで多彩なアドベンチャー体験が楽しめる大自然の遊び場ですが、息を止めなくても海底を歩くことができます。このユニークなホープウェル・ロックスほど干満差の大きい場所は他にありません。この岩の形は潮汐の侵食により、何千年もの年月をかけて形成されました。砂岩付近で朝カヤックを楽しんだと思ったら、たった6時間後には同じ場所がはるか頭上、52フィート(約16m)の高さにそびえ立ち、濡れた地面で珍しい石や化石を探して歩くことができるのです。動物好きなら、ボートやカヤックに乗ってイルカやパフィン、アホウドリ、サギを探しながら、この海域に住む、またはこの海域を周遊する12種類以上のクジラを探しに出かけましょう。水面から顔を出したヒレを見て、潮吹きのしぶきを感じ、畏敬の念を呼び起こすクジラの姿を見れば、あなたの人生観が変わるはずです。